仮仮義足のソケット問題はBOAが解決してくれるかもしれない

仮仮義足のソケット問題について以下の記事で触れました。

ytanaka207.hatenablog.com

 

実は、この問題を解決してくれるかもしれないBOAという製品があります。

BOAを使った義足というのは既に米国では売られています(以下のリンクを参照)。

RevoFit Solutions - Click Medical

FIT & COMFORT ON DEMAND WITH THE BOA® CLOSURE SYSTEM RevoFit™ is a new generation technology solution that enables prosthetists to fabricate micro-adjustable prosthetic sockets. Once integrated, the fabricated socket fit can be instantly customized, by micro-adjustments of the Boa® reel by creating compression, suspension & closure around the limb.

BOAがあれば、義足の入院リハビリテーションの初回から

 1.チェックソケットでソケット作製

その後しばらくしてから、

 2.BOA付き仮義足の作製

で本義足まで持たせることができるのではないかと考えています。

 

BOAは日本では以下の会社が提供しています。

www.imasengiken.co.jp

まだ完成用部品に登録されていないのが残念。

登録されたら仮仮義足のソケット問題を解決するためにぜひ使ってみたいと思ってます。


BOA(義肢用)製作マニュアル動画

仮仮義足のソケット問題

義足のリハビリテーション普及の妨げになっているのが、仮義足を作る前に必要になる”もう一つの義足”の問題です。うちの病院ではこの”もう一つの義足”のことを”仮仮義足”と呼んでいます。

 

なぜ仮仮義足が必要なのか。

 

切断になったら仮義足を1本作ってそれで終わりでいいんじゃないの?と思われがちですが、実はそうではありません。

切断後初期における切断者の断端は、大きさがどんどん変わっていきます。入院中にも変わっていきます。これを断端の成熟と呼びます。

そのため断端の変化に合わせて義足も作り変えていく必要がでてきます。具体的には義足の中のソケットというパーツを作り変える必要があります。

ソケットとは断端を入れるパーツのことです。

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義足のソケットは靴よりももっと厳密なフィッティングが要求されます。フィッティングが悪いと痛くて歩けなかったり、傷ができたりします。

リハビリの最初の段階でこのような完成品を作ってしまうと、しばらくするとソケットが合わなくなり、義足を作り直さなければいけなくなってしまいます。

ところが義足の作り直しは医療保険では認められていませんし、身体障害者手帳で作るにも申請から許可が下りるまでに1ヶ月以上かかるので、そんなに待てません。それに仮義足作製からすぐに手帳を使って申請しても、もっと長く仮義足をはいてから申請してくださいと自治体に言われてしまって門前払いという現状もあります。

 

そのため、仮義足の前の仮仮義足が必要というわけです。仮仮義足でしばらく断端の成熟を進めてから仮義足の作製に入る。これが重要になります。

仮仮義足のソケットをどうするかですが、一つにはチェックソケットという透明ソケットを作るという方法があります。

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ただしこの方法はチェックソケットの作り直しにかかるコストを計上することが認められていないという問題があります。

プラスチックキャストで仮仮義足のソケットを作るという方法もあるようで、これも試してみないとなと考えているところです。

 

なかなか悩ましいのですが、できるだけ多くの病院に普及できるような方法を考えていきたいと思っています。

仮義肢(仮義足・仮義手)とは

病棟での勉強会のために作ったスライドから。

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よく誤解されるのですが、”仮”義肢(仮義足・仮義手)と言っても、出来上がる義肢は本義肢と変わりありません。

断端が成熟していく過程で作るので、作り直しは仮義肢完成後から半年〜1年が目安です。

上記の通り、作り直す時は本義肢になります。義肢は劣化していくものなので、壊れたら、もしくは耐用年数を目安に作り直していくことになります。

義足のリハビリテーションが広まらない原因とその対策

一つには脳卒中など他の疾患に比べて、患者数が少ないことがあります。

昨今では下肢切断者の多くは糖尿病や閉塞性動脈硬化症など血管がボロボロになることが原因で切断に至ります。交通事故などの外傷で切断になる人のほうが少ないです。

高齢化社会に伴い糖尿病や閉塞性動脈硬化症の高齢者が増えてはいるものの、救肢と言って足を残すための医療も進歩していることもあり、数としてはそれほど多くはありません。

そのため地域のリハビリテーション病院でも切断者はたまにしか入院せず、そのため切断のリハビリテーションの経験が蓄積されないというわけです。

 

もう一つは深く関わらなければならない職種が増えるということがあります。

その職種は義肢装具士です。

義肢装具士は義足を作るエキスパートですから、近くにいてくれるに越したことはありません。

ところが、”リハビリテーションセンター”ならセンター内にお抱えの義肢装具士がいたりしますが、”リハビリテーション病院”には義肢装具士は常駐していません。

義足のリハビリテーションを円滑に進めるためには理学療法士義肢装具士、医師が特によく情報共有できなければなりませんが、義肢装具士が病院常駐じゃないことがそれを難しくしていると思われます。

 

これらの問題を解決するためには、

  • 受け入れ側のリハビリテーション病院が定期的に切断者を受け入れるようにすること(リハ病院のレベルアップ)
  • 義肢装具士に情報共有の輪の中に入ってもらえるよう、理学療法士や医師の方から意識して声をかけること。カンファレンスのような場があると良い。(多職種連携)
  • どこのリハビリテーション病院でも適用できる標準化された義足リハビリテーションプログラムの確立(義足リハプログラムの確立)

が必要だと思っています。

 

 

標準的な義足リハビリテーションプログラムの確立を

最近取り組んでいるテーマです。

僕はできるだけ多くの切断者に、その方にとっての適切な義足を提供できるようにしたいと考えています。

僕が勤務している回復期リハビリテーション病棟では、おかげさまで常時5人〜10人の切断者の入院を受け入れ、義足のリハビリテーションを提供することができています。

近くの方はウチに来てもらえばいいかもしれません。

しかしながら、遠方の方はそうもいきません。

できれば住まいの近くにあるリハビリテーション病院で義足のリハビリテーションを受けることが理想でしょう。

そうすると、全国津々浦々のリハビリテーション病院でも義足のリハビリテーションを提供できるような仕組みが必要です。

色々な問題を解決しなければなりません。

とりあえず思いつくところで、

といったところでしょうか。

解決策を考えていきます。

*1:仮仮義足とは仮義足の前に作る訓練のための義足のことです。

Rotationplasty(ローテーションプラスティ)と術後の機能

Rotationplasty(ローテーションプラスティ)手術といえば、骨肉腫などの骨のガンの手術法の一つで、ガンに侵された大腿骨を切除して、残った足先を前後反対にして残った大腿骨と結合させるというものです。

 

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SickKids: Teens who lost part of a leg to cancer will run, jump and ski | Toronto Star

 

元の足首が膝関節の代わりをするわけです。

実際にこの手術を受けた子はどのような動きが可能になるのか?
よく分かる動画を見つけましたのでシェアさせて頂きます。

 

www.youtube.com

 

バレエをしています。すごいですね!

大腿義足ではこうはいきませんので、ローテーションプラスティのニーズがあるのも分かります。

手術を受けるか決めるには、この見た目を受け入れられるかどうかも考慮する必要があるかと思います。

筋電義手 "bebionic(ビバイオニック)"


'Terminator' arm is world's most advanced prosthetic limb

bebionic.com

多関節ハンドの筋電義手です。母指は健側を使って他動的に動かします。

三指つまみや指差し、マウスクリックなんかもできて、動きはi-limbに近いですね。

動作音はそれなりにします。うるさいと感じる人もいるかもしれません。

手の形がきれいなので、個人的に期待大な筋電義手です。

ottobock社が買収したことで普及にはずみがつきそう。

ottobockの方が言うには、bebionicの価格はマイオボックより高いけど、ミケランジェロよりは安くなるだろうとのこと。

今後の展開が楽しみです。